【PVも名作】Mr.Children「くるみ」歌詞に込められた意味を考察する【映画「幸福な食卓」主題歌】

国民的ロックバンドとして、今もなお第一線で活躍し続けるMr.Children(ミスター・チルドレン)。
そんなミスチルの楽曲の中で出会いと別れの季節にぴったりの名曲として有名な「くるみ」。

ポップサウンドと秀逸なメロディーで今もなお多くの人の心に響く楽曲です。
出会いと別れの歌詞だけでなく、色んな捉え方ができる歌詞も魅力で、「くるみ」というタイトルの意味も様々です。

今回はそんな大人気曲「くるみ」の歌詞の意味と解釈、そしてMVから見える世界観を通して、楽曲の全体像を考察していきます。


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Mr.Children「くるみ」 楽曲詳細

Toysfactoryレコード
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・リリース日:2003年11月19日
・リリース形態:マキシシングル「掌/くるみ」
・収録アルバム:シフクノオト
・作詞作曲者:桜井和寿
・タイアップ:NTTドコモ・NTTドコモ東北CMソング、映画「幸福な食卓」主題歌(2006年シングル「しるし」カップリング収録曲「くるみ – for the Film – 幸福な食卓」)
・売上枚数:651,696枚

「くるみ」は、2003年11月19日に発売されたMr.Childrenの25thシングルです。
「掌」との両A面シングルとなり、オリコンチャートで2週連続1位獲得、10週連続トップ10入りを記録しました。

楽曲だけでなく、「Mr.ADULTS」という架空のおじさんバンドが出演するMVもとても話題となりました。
今回はそんな「くるみ」の歌詞やMVを紐解きながら、ご紹介していきたいと思います!!

Mr.Children「くるみ」の歌詞を考察する

さて、ここからはMr.Children「くるみ」の歌詞を考察していきたいと思います。

「くるみ」という女性がいて、「君のいない道の上へ」で最後終わることから、彼女のいない人生を失望しつつ、でも出会いと別れが繰り返されていく時間の中でなんとか希望をいだいて生きていきたいという主人公の想いがわかります。

ここからは特徴的な歌詞をピックアップしてさらに深掘って考察していきたいと思います!

「ねぇ くるみ この街の景色は君の目にどう映るの? 今の僕はどう見えるの?
ねぇ くるみ 誰かの優しさも皮肉に聞こえてしまうんだ そんな時はどうしたらいい?」

さて、まずは冒頭の歌詞です。
最初聞いたとき、くるみって誰だよ?って思いました笑

今こうやって考察してみると、最初から悲しみが滲み出ているような歌詞であることがわかります。
くるみという別れた女性に対しての未練が見える冒頭の歌詞です。

人の優しさを「皮肉」と捉えてしまうこと、たまにあるのかな〜と思うのですが、皆さんはどうでしょうか?
そういうときは、大抵やけになっている事が多く、少し自暴自棄な状態であるのがこの歌詞からも聞いて取れます。

「良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で 今 動き出そうとしている 歯車のひとつにならなくてはなぁ」

さて、次はサビの歌詞です。
ここでは、付き合っていたときのことを思い悲しみつつも、「今」という時が確かにあって、その中で生きていかなきゃならないという気持ちが分かります。

「良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる」という歌詞は、恐らく付き合っていた時のことがかなり前のことのように感じ、まるで今の自分が年老いているかのような感じになっているのでしょう。

そして「歯車」という言葉は、社会の一部と言い換えることができます。
彼女と別れてどれだけ辛くても会社、仕事、学校には行かなくてはならないし、社会の一部として稼働し続けなければならない。

まだ絶望に近い感情だとは思いますが、「年老いた」という表現も「歯車」という表現もとても言い当てていてめっちゃいい歌詞だと思います!

「希望の数だけ失望は増える それでも明日に胸は震える
「どんな事が起こるんだろう?」 想像してみるんだよ」

そして、サビの後半です。
ここもめっちゃいい歌詞ですね。

「希望」を抱けば抱くほど「失望」の可能性も増えるし、悲しい思いをすることも多くなる。
でも、「希望」があるだけで、「明日に胸は震える」。
この「増える」と「震える」の韻の踏み方も桜井さんらしくて好きです。笑

そして、最後の最後に「想像してみるんだよ」とやっと希望を持つことができた様子がわかります。

「ねぇ くるみ 時間が何もかも洗い連れ去ってくれれば 生きる事は実に容易い
ねぇ くるみ あれからは一度も涙は流してないよ でも 本気で笑う事も少ない」

さて、2番です。
時間が経つことによって忘れることができれば生きる事は実に容易く、悲しみにくれることもありません。
しかし、ほとんどのことが時間によって解決するのではなく、自分の心の状態によって解決に向かうのだと思います。

たしかに時間が何もかもを洗い連れ去ってくれれば感情というものも必要がなくなり、生きる事自体は楽なのかもしれません…。

そして、その後の「あれからは一度も涙は流してないよ でも 本気で笑う事も少ない」にも繋がっていて、時間が解決してくれることに期待しすぎて、感情を無くしている様子がわかります。

しかし、悲しみなどの負の感情をを押し殺すことほど人生で辛いことはありません。
その場しのぎで楽になるかもしれませんが、それは人生を捨てたことに等しいと私は思います。

それほどの悲しみを抱いており、主人公の人生の残酷さを物語っています。

「どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに 出会う事で意味が出来たならいい」

次は2番のサビの歌詞です。
ここは、ボタンホールという難しいワードで例えられていますが、簡単に言えば別れと出会いを表現しています。

そして、彼女に対して新しい出会いがあることを「希望」として捉えられており、1番の歌詞よりは前向きに彼女、そして自分自身と向き合っているような気がします。

このボタンホールの例えは、今聞いても震えるほど見事な表現ですね…。
桜井和寿の天才さがよくわかります…。笑

「出会いの数だけ別れは増える それでも希望に胸は震える
十字路に出くわすたび 迷いもするだろうけど」

さて、2番のサビの後半部分になります。
1番のサビよりはだいぶポジティブになっているのがわかると思います。
1番は、無理やり前を向こうとしていた様子がわかりますが、ここの部分は、少し自分自身を俯瞰して見てる様子がわかります。

「僕は希望に胸が震えることをわかったよ!前向きになったよ!それでもまだ、迷うことあるんだけどね!」という感じでしょうか。
失恋を乗り越えて少しだけ成長した男の姿が浮かびます。

「今以上をいつも欲しがるくせに 変わらない愛を求め歌う」

さて、次は大サビの歌詞です。
この歌詞は本当に深いですね…。

いつもは目新しいものや現状の変化を求めたり、色んなものを欲しがるくせに、結局は「愛情」という変わらないもの、普遍的なものを求める。
人間の本質を確信的についている歌詞だと思います。

転調するメロディも相まってとても心に染みる歌詞です。

「引き返しちゃいけないよね 進もう 君のいない道の上へ」

そして、最後の歌詞になります。
ここでは完全に過去の未練を断ち切った姿がわかります。
新しい人生を生きていく覚悟をとても強く感じます。

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タイトル「くるみ」に込められた意味とは?

さて、ここまで特徴的な歌詞をピックアップしてご紹介してきました。
ところで、「くるみ」とは結局何なのでしょうか?

冒頭の歌詞からすると、「くるみ」という女性の名前であることがわかりますが、実は他にも意味があるのです。
この「くるみ」というのは、「来る未来(くるみらい)」という意味があるらしいです。

未来が来ることを女性の名前として「くるみ」とし、過去の女性に語りかけるようにして歌うことで過去の自分と今の自分を照らし合わせながらこの先生きていこうとする気持ちを描いているそうです。

めちゃくちゃ深いし、タイトルの付け方上手いな〜と思いました笑

「くるみ」のMV(PV)は超名作ストーリー

さて、「くるみ」を語る上で外せないMVのご紹介をします。
結論から言うと、このMVは『SPACE SHOWER Music Video Awards 04』で「BEST VIDEO OF THE YEAR」「BEST GROUP VIDEO」の2つの賞を受賞した超名作です!

【監督】
・丹下紘希

【出演者・俳優】
・網野あきら
・飯田孝男
・伊藤昌一
・バイソン片山

【MV撮影ロケ地】
東京都大田区「ガス橋」~「多摩川大橋緑地」周辺

ストーリー

内容はというと、まずは中年の男性が登場します。
ある日その男は店に置かれているギターに魅了され、バンド活動をしていたころのことを想います。
今は、妻と子供にも置いて行かれ冴えない日々を送っているのですが、「くるみ」という曲を作り、バンド再結成を決意します。

かつてのメンバーに声を掛け、仲間に再結成を持ちかけます。
それぞれ生活がある上にかなり歳を取った男たちですが、それでもそれぞれが過去の自分と向き合い再集結します。

昔のような華々しさはもうありませんが、それでも過去と向き合い「今」自分にできることを精一杯やっていこうとするそんなMVです。
結婚式のシーンではくたびれた男たちの姿に切なく悲しくもありますが、それでも輝いていようとする姿に胸が熱くなります。

先述した歌詞の内容とは関係ないようなMVと思われがちですが、夢を置いてきた人たちが過去と向き合い「来る未来」に向かって懸命に動き出す姿は、楽曲としての「くるみ」ととてもマッチしており、恋愛ソングではなく、夢や希望、そして人生を歌った曲であることがわかります。

ラストシーンは実話?「Mr.ADULTS」から「Mr.Children」へ

さて、MVの内容を解説しましたがいかがでしたでしょうか?
ここからは、MVの最後のシーンについて解説していきたいと思います。

まずは、中年男性たちのバンド「Mr.ADULTS」がこのMVの主人公です。
ミスチルのメンバーはほとんど登場しません。
しかし、最後の最後のシーンで、桜井和寿が登場します。

過去の夢と向き合うことで完全に過去と決別し前を向くことができた「Mr.ADULTS」のバンドメンバーの一人が同バンド名が書かれた紙切れを捨てます。
そして、たまたまそこに居合わせた桜井和寿がその紙切れを拾い「Mr.ADULTS」という文字を見ます。

そして画面に「1989年 Mr.Children結成前日。 (One Day Before The Band “Mr.Children” Started.)」というテロップが表示され、立ち去る桜井和寿の後ろ姿でフェードアウトします。

「Mr.ADULTS」というバンド名を見た桜井和寿がそこから発想を得て翌日に「Mr.Children」というバンド名とともに結成。
そんなことを考えさせられるラストシーンです。

しかし、これは実話ではなく、MVの演出らしいです。笑

とはいえこのシーンは見事で、一人の夢が終わった時に次の人に夢が託されるということを表現しているのだと思います。
人の夢は叶ったとしても叶わなかったとしても、その気持ちは他の人に伝染して、また次の夢の種になるのです。

心が熱くなりとてもグッときます。
是非楽曲と合わせてMVも見てください!!

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まとめ

さて、今回はMr.Childrenの「くるみ」をご紹介しましたが、皆さんいかがでしたでしょうか。

ただの恋愛ソングとして「くるみ」を聞いていた人もいるかもしれません。
聞く人それぞれの解釈があると思うので、それも正解でどの解釈であっても間違いなんてことはありません。

しかし、それぞれの歌詞と正面から向き合うことで見えてくる世界があり、知ることができることが沢山あると思うのです。
そして知れば知るほどに自分の中で解釈が深まっていき、さらに楽曲が良いものになっていく。
音楽というのは、聞く人によって育てられるものなのかもしれません。

話が逸れましたが、「くるみ」という楽曲は聞く人によって恋愛とも取れるし、夢とも取れる、多角的に描かれている歌詞が最大の魅力だと思います。

今もなお名曲として知られる「くるみ」。
みなさんも是非聞いていただき、それぞれの心のなかで解釈していただければと思います!!

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