Bank Band feat. MISIA「forgive」歌詞の意味を徹底考察する【作詞:櫻井和寿】

音楽プロデューサーの小林武史とMr.Childrenのボーカル・桜井和寿(本名:櫻井和寿)が中心となって活動しているスーパーバンド・Bank Band。

社会貢献活動の一環として活動しているバンドであり、「ap bank fes」というフェスを10回以上にわたり行っております。
その中でも、有名ミュージシャンとのコラボが注目され、カバー楽曲とともに様々なコラボが実現してきました。

そして2021年、「Bank Band櫻井和寿」は、ある有名女性シンガーソングライターとのコラボを発表しました。
日本だけでなく、アジアを代表するミュージシャンとして有名な「MISIA」です。

元々、日本における女性R&Bブームの火付け役として活躍し、世界基準のサウンドを日本に広めてきました。
また、世界中の子どもたちの教育支援を目的とした団体を立ち上げたり、現地に赴きサポートしたりなど、社会貢献活動や慈善活動にも積極的なアーティストでもあります。

日本の音楽シーンにおいて、ロックバンドとR&B、それぞれの世界で成功を収めてきた二人が、有名音楽プロデューサー小林武史と共に新曲を披露しました。
今回はそんな夢のコラボ・Bank Band feat. MISIA「forgive」をご紹介したいと思います!!


スポンサーリンク

Bank Band feat. MISIA「forgive」楽曲詳細

・作詞:櫻井和寿
・作編曲:小林武史
・ゲストボーカル:MISIA
・公開日:2021年3月11日
・配信日:2021年3月20日

「forgive」は2018年7月にリリースされた「MESSAGE – メッセージ -」に続く、 Bank Bandの5作目のオリジナル曲です。

TBS系の音楽特番「音楽の日」で初公開となる2021年3月11日というと、「東日本大震災」が発生した2011年3月11日から10年という節目の日でもあります。
また、それと合わせて新型コロナウイルスという新たな脅威が続いている状態であるという、その背景にこの楽曲は生まれました。

作詞をした櫻井和寿は、「あれから10年 それから今も 大きな流れの前では、小さくて不完全な僕らを 許しながら それでもやっぱり未来へ力強く漕ぎ出す そんな歌です」とコメントしました。

そしてMISIAは「東日本大震災から変わらず、東北へ心を寄せ、活動を続けてきたお二人だからこそ生まれた歌だと思います」と語っています。

今回は、そんな背景の上で完成した「forgive」の中身を、歌詞を紐解きながら解釈していきたいと思います!

Bank Band feat. MISIA「forgive」感想

まずは、率直な感想からお伝えします。
最初聞いた時、「なんだこれ?」ってなりました!笑
冒頭の「えんやこら まだだよ」「えんやこら まだいくよ」は、お祭りソングか?とも思いました

でも、よくよく考えると東北を意識しての言葉選びだということに気づきましたし、聞けば聞くほどその力強さに心震わされました。

全体的な曲のイメージとして、聞く前はしっとりとした包み込むような優しいメロディかと予想をしておりましたが、真逆でした笑

力強くて疾走感があり、何人もの少年が一斉に走り出す姿が頭に浮かびました。
歌詞の言葉一つ一つに当時(3.11)を彷彿とさせるものが含まれていたり、昔を懐かしんだり、本当に被災された方々のことを想って作詞したんだな〜と感じました。

また、現在の新型コロナウイルス影響で出勤できないサラリーマンや卒業式で歌を歌うことができない卒業生など、色んな「当たり前」が覆っている現在の世の中に対してのメッセージとしても受け取ることができ、めちゃくちゃ感動しました…!

スポンサーリンク

Bank Band feat. MISIA「forgive」どんな歌詞?意味を考察する

えんやこら まだだよ
えんやこら まだいくよ

えんやこら ここから
えんやこら はじまるよ 今から

「もういいかい?」「まだまだだよ」って
子供たちが、かくれんぼしている
可愛らしくて 懐かしくて 束の間 時が止まる

いつも見えない荷物の重さに
身体を屈めながら暮らしてる
誰のせいでもないと分かってて
誰かを責めたり 自分を恨んだりして

爪先立ちして
風のディストーション 身体中に浴びながら放つよ
金網を越えて 何処までも飛んでけ
あの日丸めた未来予想図を
紙飛行機のイメージで 次の僕らへと

「もういいかい?」「まだまだだよ」って
自分の中のかくれんぼなんか もうやめた

えんやこら まだだよ
えんやこら まだいくよ

えんやこら ここから
えんやこら はじまるよ

変わってく事でしか続いてはいかない
それもとうに理解してる
新しい景色を許すことで
それまでの全てが許されるならいいのに

爪先立ちして
風のディストーション 身体中に浴びながら歌うよ
花びらが舞った きらめく解放区で
明日のためのメロディ奏でよう
金網を越えて 何処までも飛んでけ
あの日消えた未来予想図を

爪先立ちして 次の僕らへと
花びらが舞った 次の未来へと

昨日を許して 次の僕らへと
自分を許して 次の未来へと

声よ響け 次の僕らへと
歌よ響け 次の未来へと

声よ響け 次の僕らへと
歌よ響け 次の未来へと

涙を連れて飛んでけ
次の僕らへと

作詞:櫻井和寿

ここからは、「forgive」の歌詞をピックアップしてご紹介したいと思います。
櫻井和寿は、Mr.Childrenとして、そしてBank Bandとして多くの名曲を作詞しよに送り出してきました。
色んな視点から物事を捉え、一つの曲として完成させる技術はまさに芸術と言わざるを得ません。

今回の「forgive」を聞いたときも、まだまだこんな引き出しがあるのか…。
と感嘆しました。

そんな櫻井和寿の無限の可能性大をまざまざと見せつけられた「forgive」の歌詞を一つずつご紹介したいと思います!

「えんやこら まだだよ えんやこら まだいくよ」

まずは冒頭でもご紹介した曲冒頭のこちらの歌詞です。
東北民謡の掛け声を意識した、力強いメッセージから始まります。

曲の全体像の背景にこのメッセージは常に存在しており、まるで神輿を担いだ男たちがこの楽曲を地面から空へ押し上げているかのような、そんなイメージです。

「「もういいかい?」「まだまだだよ」って 子供たちが、かくれんぼしている
可愛らしくて懐かしくて 束の間 時が止まる」

さて、Aメロです。
冒頭の掛け声とは逆に、優しいサウンドで始まります。

MISIAの優しい歌声を聴くと、本当にそこに子どもたちがかくれんぼしているような想像ができます。
「可愛らしくて懐かしい」というのは、ひょっとしたら今生きている誰かが当時を振り返って回想しているようにも聞こえます。

「いつも見えない荷物の重さに身体を屈めながら暮らしてる
誰のせいでもないと分かってて 誰かを責めたり 自分を恨んだりして」

Bメロは、徐々に力強さを取り戻していきます。
この歌詞は、今生きている誰かの状況を語っています。

「見えない荷物」という表現が面白いなと思ったのですが、震災という自然災害は誰が悪いわけでもなく、ただただ地震という自然現象が起きているだけなのです。

その自然災害によって心に深い傷を負い、それを「とても重い荷物」として背負い暮らしている。
その荷物は誰かが乗せたわけでもなく、ただただ地震という自然災害が荷物に重さを足していったにすぎません。

誰かを責めようにも責められず、最終的に問題を解決できていない自分を恨んだり、そういった現状を歌っていると感じました。

「爪先立ちして風のディストーション 身体中に浴びながら放つよ」

さて、ここからはサビの歌詞です。
「爪先立ち」というのは、非常に不安定な状態ですよね。

恐らくそれも現地で暮らす人々の心の状態を示しているのだと思います。
まだまだ不安とともに生きることを余儀なくされている、不安定な状態を「爪先立ち」と表現しています。

そして、風のディストーション。
ディストーションとは、「歪み、ねじれ」という意味だそうです。
風の歪み、というのは強い向かい風の状態を示しているのかもしれません。

そしてその強い向かい風を身体中に浴びながら、今度は浴びたその風を放っていく、とても力強い歌詞です…!

「金網を越えて何処までも飛んでけ!」

サビの続きの歌詞です。
めちゃくちゃ力強いですね!
多くの楽曲を作詞しているMr.Childrenの楽曲の中でも、ここまで力強いメッセージはそんなにないように思います!

「金網」というのは、いわゆるフェンスのことですね。
恐らく皆さんのイメージしている金網そのものだとは思うのですが、私は刑務所を脱獄する死刑囚がなぜか思い浮かびました笑
それだけの強い意思みたいなものをメロディと共に受け取ることができます。

「あの日丸めた未来予想図を 紙飛行機のイメージで次の僕らへと」

サビのラストです!
めっちゃいい歌詞です…!

当時被災に遭われた方々は、今の自分達と何も変わらない生活をしており、それぞれに人生があり明るい未来を描いていただろうし、夢もあったことでしょう。
しかし、震災によってその「未来予想図」は一瞬にして壊された方がたくさんいらっしゃいました。

残された遺族やその周りの人々はその未来予想図を広げることさえもできず、ただただ必死で生きています。
10年経って、それぞれに新たな「未来予想図」ができそれぞれに生きています。

10年前のあの「未来予想図」はいっそ紙飛行機にして「次の僕ら」へと繋いでいこう!
という凄く凄く優しくて力強いメッセージが込められていると思います。

この歌詞を聞いた瞬間、鳥肌が立ったのを覚えています…!

「新しい景色を許すことで それまでの全てが許されるならいいのに」

こちらは2番の歌詞です。
ここで「許す」というワードが出てきます。

「新しい景色」というのは「今の景色」だというふうに捉えました。
それを「許す」ことこそが、前を向くということでもあり、未来に繋がることだと思います。
しかし、それでも過去の全てを「許す」ことはなかなかできず、水に流すことができません…。
そんな「強くない人間」を表現しているようにも聞こえました。

「昨日を許して次の僕らへと 自分を許して次の未来へと」

最後のメッセージはこちらになります。
この曲の中で一番伝えたいことなのではないかと思います。

「次の僕らへと」や「次の未来へと」は今を生きて明日を夢見ることを歌っており、とても前向きなメッセージと捉えられます。

「昨日を許して」や「自分を許して」というは、過去の自分を歌っています。
先ほども述べたように、震災という「見えない荷物」を自分の責任として背負い続け、自分を恨み続けた昨日の自分を「許す」というメッセージだと思います。

ただただ前向きに生きるということは、かりそめでもできることだと思うのですが、過去を「許す」というのは、自分自身と向き合って初めて成し得ることだと思います。
そして過去を許した上で「次の未来へと」生きることは、かりそめではなく本当の意味で前を向いて生きることだと思います。

恐らく被災地の方々と接したからこそわかる心の傷や、昨日までの自分を許せない気持ちが理解できるのでしょう。
それを踏まえて、自分を許し前を向いて生きていこうという、深い意味で前向きなメッセージが込められていると思いました!

スポンサーリンク

「許す」とは?

この楽曲で何度も繰り返し歌われている「許す」というワード。
実は、タイトルである「forgive」も「許す」という意味になります。

一般的には、謝罪された際に「許す」という選択が生まれると思いますが、この楽曲では、そういった意味の「許す」ではなく、どちらかというと「全てを受け止める」というようなニュアンスで語られていると捉えました。

「昨日の自分」は、自分を責め続け、そして重い重い荷物を抱え続けた。
そんな自分を認め受け止め、「今まで頑張ったね。」「これからはその荷物、他の人にもちょっとだけ持ってもらおうよ!軽くしようよ!」と、認めることなんだと思います。

曲の中でも歌われているように過去全てを「許す」ことは難しいと思います。
それでも、ほんの少しだけ「それでいいんだよ」と自分で自分のことを認めることができれば、「次の未来へ」とバトンを渡すことも許されることだと思います。

「許す」という言葉はとても深く、なかなか震災を背景とした楽曲では選びにくい言葉の一つだと思います。
それでも、だからこそ「許す」ことの大切さを教えてくれているような気がします。

櫻井和寿のワードセンスの高さや、言葉の深さをとても考えさせられます。

まとめ

ということでのBank Band feat.MISIAの「forgive」について紹介しました。
いかがでしたでしょうか?

今まで、Bank BandとしてだけでなくMr.Childrenとしても震災と向き合い作詞作曲、ライブを行ってきた櫻井和寿。

ストレートに震災にピンスポットを当てて歌うことはなかなか難しく、どうしても多角的に表現されることが多かったと思います。
しかし今回のこの「forgive」では、東日本大震災から10年という節目を意識し震災にピンスポットを充てて作られ、歌われたことが分かります。

それほどに彼らの中での東日本大震災の大きさを物語ってくれますし、だからこそ心に響く楽曲を歌うことができるのだと思います。

櫻井和寿×小林武史の黄金タッグに加えて、MISIAの圧倒的な歌唱力、そして何よりも復興を願う優しい心が彼らの中で共通項として存在していることがとても理解できる楽曲でした。

何度もお伝えしておりますが、2021年は東日本大震災から10年という節目の年になります。
さらに新型コロナウイルスで「当たり前」が変化し続け、常に対応が求められる現在です。

10年前当時を振り返りながら、そして過去の自分を受け止め認め許しながら、私たちも今を生き前に進むべきなのだと思います。

2021年、是非皆さんにも聞いていただきたい一曲です!!

【人気投票】ファンが選ぶ!ライブでBank Bandに歌ってほしい曲は?

  • 選択肢を追加

Bank Band おすすめ人気曲(カバー・オリジナル曲)を紹介【沿志奏逢の意味とは?】

Bank Band with Salyu「to U」泣ける歌詞の意味を考察する【news23テーマソング】

スポンサーリンク