2016年のプロ野球ペナントレースは、阪神の金本監督、巨人の高橋由伸監督など若い世代の新監督が就任となり、開幕前から話題のある年でしたね。
巨人、阪神はもちろん、2015年覇者のヤクルトも含めて、優勝争いするのはどこのチームになるのか?
正直なところ、前田健太がメジャーに行った2016年の広島カープは、優勝争いは無理という見方が大半だったように思います。
そんな前評判を裏切る大躍進にファンですら、意外な展開だったのではないでしょうか?
広島カープの1991年(25年前)優勝データ
カープが優勝に近づく度に取り上げられる話題といえば、過去に巨人に逆転優勝を許したメイクドラマ、そして、25年前のカープの優勝のことですね。
独走状態で前半を折り返すものの、後半戦に少しでも連敗すれば、「リメイクドラマなるか?」といったカープ側からすれば、トラウマのようについて回るプレッシャーを感じてきたことでしょう。
しかし、2016年は、後半戦も勢いを緩めること無く勝ち続け、25年ぶりの優勝が近づいてきました。
その25年前の1991年は、どんなペナントレースだったのか、過去のデータを調べてみました。
まずは、1991年の順位表です。
順位 | チーム | 勝数 | 負数 |
1位 | 広島 | 74 | 56 |
2位 | 中日 | 71 | 59 |
3位 | ヤクルト | 67 | 63 |
4位 | 巨人 | 66 | 64 |
5位 | 大洋 | 64 | 66 |
6位 | 阪神 | 48 | 82 |
私は当時を良く知っているわけではないのですが、エースの佐々岡、北別府、打者では江藤や前田、野村といったカープの顔とも言える選手がいたんですね。
なので、勝手に断トツで優勝したイメージがありました。
広島は、74勝56敗(貯金18)で、中日とわずか3ゲーム差で優勝しています。
しかも、阪神がダントツの最下位で、5位までは、そこまで差が開いているわけではありません。
この年の広島カープは、どんなところが強かったのでしょうか?
1991年の優勝メンバー(選手)の打者成績
カープが優勝した1991年の監督は、WBCでも指揮をとった山本浩二監督でした。
そして、主なスタメン野手の成績がこちらです。
No | 選手名 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 |
1番 | (二)正田耕三 | .291 | 52 | 8 | 9 |
2番 | (中)前田智徳 | .271 | 25 | 4 | 14 |
3番 | (遊)野村謙二郎 | .324 | 66 | 10 | 31 |
4番 | (左)西田真二 | .289 | 51 | 7 | 6 |
5番 | (右)山崎隆造 | .301 | 50 | 8 | 9 |
6番 | (一)小早川毅彦 | .259 | 39 | 7 | 0 |
7番 | (三)江藤智 | .215 | 31 | 11 | 0 |
8番 | (捕)達川光男 | .237 | 39 | 1 | 3 |
・・・「あれ?意外とそんなでもないかも?」と思ってしまう数字ではないでしょうか?
3割打者は野村謙二郎、山崎隆造の二人のみ。
100打点を上げている選手はおらず、本塁打も少ないですね。
前田智徳選手や、江藤智選手の成績を見ても、まだこれから成長する段階で、全盛期ではありません。
それもそのはず、チーム打率はリーグ4位の.254、ホームランはリーグ5位の88本、得点もリーグ5位の516と、全てにおいてBクラスです。
優勝した年にしては、決して打撃の強かったわけではなかったようです。
1991年の優勝メンバー(選手)の投手成績
続いて、主に活躍した投手成績を見てみます。
No | 選手名 | 防御率 | 勝 | 負 | セーブ |
先発 | 佐々岡真司 | 2.44 | 17 | 9 | – |
先発 | 川口和久 | 2.90 | 12 | 8 | – |
先発 | 北別府学 | 3.38 | 11 | 4 | – |
中継ぎ | 石貫宏臣 | 1.98 | 5 | 1 | 1 |
中継ぎ | 川端順 | 2.36 | 5 | 1 | 1 |
抑え | 大野豊 | 1.17 | 6 | 2 | 26 |
やはり、佐々岡投手が活躍した年だったことがわかりますね。
あと目を引くのは、中継ぎの防御率の良さですね。
特に抑えの大野豊投手は、防御率1.17という素晴らしい成績を残しています。
この年の投手のタイトルは
・佐々岡真司
最多勝利、最優秀防御率、MVP、沢村賞、ベストナイン投手
・北別府学
最優秀勝率
・大野豊
最多セーブ
となっており、最多勝、最優秀防御率、最優秀勝率、最多セーブと投手部門の主要タイトルを、広島カープが独占した年だったのです!
強い時のカープというのは、打撃が好調というイメージが(私の勝手なイメージですが)あったわけですが、チーム防御率もリーグ1位の3.23という数字を見ても、守りで勝ってきたということがわかります。
ただ、打撃陣のメンバーの名前を見ると、これから活躍する選手が揃っていますよね。
この年の優勝をきっかけに、カープの黄金時代が来たかもしれないのに、25年間も優勝から遠ざかってしまいました。
カープは金本選手や江藤選手というバッターがクリナップを打ってた頃は、かなり手ごわかった印象なんですが、その頃はピッチャー陣が打たれていたように思います。
その上、育ち始めた選手が、他球団へどんどん移籍してしまうといったことも原因で、チーム事情は常に厳しかったことでしょう。
優勝した年も含めて、投打のバランスが悪かったと言える広島カープですが、2016年は過去を見てもかなりバランスのいいチームになったと、言えるのではないでしょうか?
2016年9月10日カープが25年ぶりの優勝
広島東洋カープが、2016年9月10日の東京ドーム巨人戦で見事優勝を決めました。
地元マツダスタジアムで3連勝も優勝にはならなかったのは、カープファンとしては残念だったかもしれません。
しかし、9月10日の東京ドームは巨人戦で、先発の黒田選手が勝利投手となったのも、何かの巡り合わせを感じます。
今年は、「神ってる」という流行語も生み出したカープですが、25年前のカープと違うところが、打撃陣の奮闘ですよね。
象徴的なのは、菊池、丸のコンビはもちろん、広島に復帰した新井貴浩が、技術面でも心理的な支えでも大きな貢献をしています。
あとは、鈴木誠也というラッキーボーイ的な存在が大きいのも言うまでもありません。
広島の選手が、後半戦も打撃の調子を落とすこと無く、ここまでやれているのは、ここ数年では見たことがありません。
正直なところ、「いつ失速するのか?」と不安になっていたファンが、ほとんどだったのではないでしょうか?
しかし終わってみれば、独走状態で首位を走ってきていたカープの強さを、他球団は見せつけれた形となりました。
カープと巨人の明暗を分けたもの
一時は4.5ゲーム差まで、一気に縮まった広島と巨人でしたが、そこからカープの脅威の粘りで、再び差を広げる展開になった2016年のペナントレース。
私は、スポーツというのは、流れや勢いというものが、とても大きいものだとあらためて感じました。
今から思い返してみると、やはり8月5日~7日の広島×巨人3連戦が、2チームのその後の勢いに影響を与えたことでしょう。
3連戦の最終戦、巨人の2連勝でむかえた8月7日の試合でした。
この日も巨人の打線が好調で、7-6と巨人リードで9回裏に守護神沢村を投入、2死ランナー無しまできました。
打者は、2番のこの日4打数4安打の菊池に同点ホームラン、新井に逆転タイムリー
ほぼ、巨人の3連勝が確定的と誰もが思った試合でしたが、広島の奇跡の逆転サヨナラゲームとなったんですね。
この時期は、広島が下降線で、巨人は打線が絶好調で、チーム状況としては完全に逆転していました。
もしこの日に巨人が3連勝して3.5ゲーム差になっていれば、広島の勢いは上昇せず、巨人も勢いが止まらなかったかもしれません。
8月7日は、広島を崖っぷちから、再度勢いを取り戻すことができた勝利だったと思います。
逆に、巨人としてはただの1敗ではなく、広島に勝たせてはいけなかった試合だったなと、今から思い返すと感じますね。
さて、2016年のCSと日本シリーズはどんな試合になるのか、今年は、セリーグの日本一が見てみたいものです。
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