「実験室から発信され、解放された可能性」
1970年代、シンセサイザーの無限の可能性に目を付け、音楽に取り込んでいったユニット。
それがYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)です。
彼らの出現により、シンセサイザーが、そしてその音があっと言う間に音楽に浸透していきます。
そしてその音楽は実験的であり、革命的でもありました。
そんなYMOの人気のおすすめアルバムを厳選して、ランキング発表してみたいと思います。
シンセサイザーとは・・・
「一般的に電子工学的手法により楽音等を合成する楽器で本来“ミュージック・シンセサイザー”と呼ばれるもの」です。
現在では非常にコンパクトになり、普通のキーボードと変わりなく持ち運びも便利で、しかも性能も格段に向上しています。
普及すらしていない初期の段階では“タンス”のような大きさの機械にちょこっとだけキーボードが付随しているようなもので、到底持ち運びなど、大騒ぎになるような代物でした。
ですからスタジオに設置するも、さながら実験室のような様相で、そこに閉じこもって音を合成し、発生させ録音し、楽曲に組み上げていく地道な作業でした。
それは今風の派手なパフォーマーやアーティストというより、研究者、職人と言った方が適切かもしれません。
1970年代に入り、デジタル化により飛躍的に技術が向上してシンセサイザーは少しずつ普及し始めます。
とは言っても当時は高価で馴染みの薄いものでした。
ですがその無限の可能性に目を付け、音楽に取り込んでいったYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)
彼らのアルバムランキングを発表します!
YMOの人気おすすめアルバムランキング:第10位~第4位
第10位.「TECHNODON」
発売日:1993年5月26日
おすすめ曲:BE A SUPERMAN, NOSTALGIA
01. BE A SUPERMAN 02. NANGA DEF? 03. FLOATING AWAY 04. DOLPHINICITY 05. HI – TECH HIPPIES 06. I TRE MERLI 07. NOSTALGIA 08. SILENCE OF TIME 09. WATERFORD 10. O.K. 11. CHANCE 12. POCKETFUL OF RAINBOWS 13. POCKETFUL OF RAINBOWS (ENGLISH VERSION) (BONUS TRACK) |
1983年に散開(解散)したYMO。
10年後の1993年に(再生)再結成し発表されたアルバムです。
当時「あまり乗り気ではなかった。」「嫌々作った部分があった。」などと囁かれ、「企画ものでは?」などといわれましたが・・・。甘い。
20年以上前に現在のテクノシーンを予見していたかのような完成度で、アシッドハウスやミニマルクラブなどのクラブシーンの音楽を取り入れ、かつ3人独自の音楽性も加味され、その存在感を再び示したアルバムだと思います。
昔のイメージでの再生を期待していたらハズレでしょうが、そこはYMO。既にまた先を見据えた音を提示したと。
第9位.「AFTER SERVICE」
発売日:1984年2月22日
おすすめ曲:Kai-Koh(邂逅), 過激な淑女
01.PROPAGANDA 02.東風 03.BEHIND THE MASK 04.SOLID STATE SURVIVOR 05.中国女 06.ONGAKU 07.FOCUS 08.BALLET 09.WILD AMBITIONS 10.KAI-KOH 11.希望の河 12.SEE-THROUGH 13.KEY 14.TECHNOPOLIS 15.RYDEEN 16.以心電信 17.過激な淑女 18.君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス- 19.FIRECRACKER |
1983年の散開ライヴを収録したライヴアルバムです。
初期のヒット曲から散開決定時までの曲を網羅しています。
YMOの集大成アルバムと言っても過言ではないでしょう。
とは言ってもやはりスタジオ録音とは違って、ライヴならではのアレンジなどが随所に見られ、全体的にはポップ?いや明るい感じに仕上がっているように思います。
実質的なラストアルバム。散開。少し解放感があるのは気のせい?
第8位.「浮気なぼくら」
01.君に、胸キュン。 (浮気なヴァカンス) 02.希望の路 03.FOCUS 04.音楽 05.OPENED MY EYES 06.以心電信 (予告編) 07.LOTUS LOVE 08.邂逅 09.希望の河 10.WILD AMBITIONS |
発売日:1983年5月24日
おすすめ曲:君に胸キュン, WILD AMBITIONS
それまでの音楽性を180度転換するかのような路線変更へ踏み切ったアルバムです。
個々のソロ活動での、様々なアーティストへの楽曲提供やアレンジなどを経て、歌謡曲路線とでもいえる程の変化をみせています。
ポップで、キャッチーで、硬派なYMOファンからは落胆の溜息が聞こえてきました。
しかし、一方で売上向上のノルマや、初期のような万人受けする分かり易い作品への期待などといった声もあり、それに応えるためのアルバムだったとも言われています。
ともあれ「軽すぎる」との見方もあったものの、更に注目され、認知度も増したことは事実でした。
このことに関して、あくまでも「本気ではなくて浮気」と細野氏は語ったそうです。
第7位.「増殖」
発売日:1980年6月5日
おすすめ曲:NICE AGE, CITIZENS OF SCIENCE
01. JUNGLE “YMO” 02. NICE AGE 03. SNAKEMAN SHOW 04. TIGHTEN UP (JAPANESE GENTLEMEN STAND UP PLEASE) 05. SNAKEMAN SHOW 06. HERE WE GO AGAIN ‾TIGHTEN UP 07. SNAKEMAN SHOW 08. CITIZENS OF SCIENCE 09. SNAKEMAN SHOW 10. MULTIPLIES 11. SNAKEMAN SHOW 12. THE END OF ASIA |
当時、古典落語や名人漫才のカセットテープなどはあったものの、音楽と音楽の間にギャグが挟まれたアルバムというものはお目にかかったことがありませんでした。
しかもジャケットはメンバー3人のフィギュア人形が「増殖」され配置され、薄っすらブラック。
曲の合間に収録されたラジオ番組「スネークマンショー」のコントもややブラック。
しかし、時代のニーズにマッチしたのか、果たして戦略だったのか・・・?
いやはやこのアルバムでファンは確実に「増殖」しました。
第6位.「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」
発売日:1978年11月25日
おすすめ曲:FIRECRACKER, TONG POO
01. Computer Game “Theme From The Circus” (Instrumental) 02. Firecracker (Instrumental) 03. Simoon 04. Cosmic Surfin’ (Instrumental) 05. Computer Game “Theme From The Invader” (Instrumental) 06. Tong Poo (Instrumental) 07. La Femme Chinoise 08. Bridge Over Troubled Music (Instrumental) 09. Mad Pierrot (Instrumental) 10. Acrobat (Instrumental) |
記念すべきYMOのデビューアルバムです。オリジナルの日本版とアメリカでのリミックス版のUS版の2種類があります。(「ACROBAT」という曲がUS版ではカットされています。)
衝撃アルバムでしたね。当時、大ブームだったインベーダーゲームの音で始まって、コンピューターの電子音で作られたポップな楽曲は何度も繰り返し聴きました。それほど新鮮な響きでした。
そりゃあランドセル背負った無垢な少年には、ドキドキワクワクな未来の音でしたよ。
結成当初は、実験的なユニットで、実験的なアルバムを作るという想定だったYMO。
その想定をはるかに超え、あっと言う間に社会現象化していくきっかけとなったアルバムです。
第5位.「SERVICE」
発売日:1983年5月24日
おすすめ曲:以心電信, PERSPECTIVE
01. LINBO 02. S.E.T. 03. THE MADMEN 04. S.E.T. BGM 使用曲:タイム・リミット 05. CHINESE WHISPERS 06. S.E.T. 07. 以心電信 08. S.E.T.+YMO 09. SHADOWS ON THE GROUND 10. S.E.T. 11. SEE THROUGH 12. S.E.T.「村祭」 13. PERSPECTIVE 14. S.E.T. |
このアルバムの前作「浮気なぼくら」ですでにYMOの散開は決まっており、本来ならば制作されなかったかもしれない最後のスタジオアルバムです。だからタイトルも「SERVICE(サーヴィス)」?
以前の「増殖」のように曲の合間にコントが収録されていて、今回は三宅裕司が主宰するS.E.T.(スーパー・エキセントリック・シアター)のコントが採用されています。
また、散開が決まっていたために、リラックスして制作されたと言われています。
メンバー三者三様の楽曲が揃えられ、各々の個性が際立った作りになっています。
バラバラのようでも、3人揃えば必然的にYMOが成立する。それがYMO。おとろしや。
第4位.「TECHNODELIC」
発売日:1981年11月21日
おすすめ曲:PURE JAM, KEY
01.「ジャム」(PURE JAM) 02.「新舞踊」(NEUE TANZ) 03.「階段」(STAIRS) 04.「京城音楽」(SEOUL MUSIC) 05.「灯」(LIGHT IN DARKNESS) 06.「体操」(TAISO) 07.「灰色グレイの段階」(GRADATED GREY) 08.「手掛かり」(KEY) 09.「前奏」(PROLOGUE) 10.「後奏」(EPILOGUE) |
意外ないきなりのコーラスフレーズで始まるイントロに当時、またしてもつんのめりました。
しかも今までにない“音”が見え隠れするので聞き耳を立てるのにも疲れました。
後付けですが、その”音“は石油缶を叩く音、工場の機械音、鉄工所の音などで、サンプリングされて使用されたそうです。
通常の楽器との絶妙なバランスと効果。実験性を更に深めたアルバムだと思います。
後のミニマル・ミュージックやアンビエント・ミュージックにも影響を及ぼしたのでは?と勘ぐっていますが・・・。そういった方向性を示唆した傑作だと思います。
さて、YMOのおすすめアルバムランキングはついにここからトップ3です!
どんなアルバムがランクインしているのでしょうか?
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