人気ドラマの『SHERLOCK(シャーロック)』のスペシャルエピソードが、シーズン4の撮影開始前に1話完結という形で製作されました。
舞台を現代に置き換えて作られた『SHERLOCK(シャーロック)』ですが、本作ではまさに原作で描かれたヴィクトリア時代を舞台に、ホームズとワトソンの活躍が描かれます。
本作は日本では劇場公開作品として映画館で上映されました。幸い私は上映館が近所にあったので、鑑賞に成功。
シーズン4の撮影も開始されましたので、本作の見どころや感想をお伝えします!
『SHERLOCK(シャーロック)忌まわしき花嫁』見どころ!「赤ひげ」というシーズン4につながるキーワードも!
本作はシーズン3とシーズン4の合間となる作品で現代版のシーンも登場しますが、メインの舞台は1895年のロンドンになります。舞台がヴィクトリア時代に置かれたことで、世界観や物語の雰囲気も大きく変わっています。
しかし、ホームズ役にベネディクト・カンバーバッチ、ワトソン役にマーティン・フリーマン、モリアーティ役にアンドリュー・スコットなど、登場するキャラクターや出演者はドラマと同じです。
現代版にアレンンジされた『SHERLOCK(シャーロック)』が、原作の舞台に立ち返るというのもおかしな話ですが、本作はドラマ以上にホラー要素が盛り込まれており、より原作に近いおどろおどろしさが強調されていて、逆に新鮮味がありました。
特にホームズの部屋は現代版と同じ間取りでありながらも、置いてある装飾物や小道具がヴィクトリア時代のものに置き換えられており、舞台に対する細かいこだわりが見られるので、世界観を楽しむ作品と言えます。
何より、主役コンビによる正統派『シャーロック・ホームズの冒険』というだけで貴重と言えるかもしれません。
また、本作にはホームズのメモの中に「赤ひげ」という言葉が登場します。これはシーズン3でも物語のキーワード的に交わされた言葉で、ホームズが少年時代に飼っていた犬の名前として使われています。
しかし、単純に犬の名前というだけでなく、ホームズの過去の出来事(問題)に関連していることがマイクロフトの台詞からも伺えました。
『忌まわしき花嫁』がシーズン3とシーズン4の架け橋的役割も担っていますので、見直してみると、シーズン4への布石が随所に隠されているのかもしれません。
『SHERLOCK(シャーロック)忌まわしき花嫁』感想!ネタバレ注意!
ヴィクトリア時代の世界観はよくできていますし、現代版にアレンジされた『SHERLOCK(シャーロック)』の出演者が原作の時代に同キャラクターとして登場するというのもなかなか面白かったです。
しかし、設定は面白いのですが、物語の構成については残念ながらイマイチだったと思います!本作で描かれる物語は、実はシーズン3のラストで飛行機に乗ったホームズの夢であり、幻覚です。
物語途中から現代版の世界も挿入されてくるため、物語が何度も分断されてしまいます。しかも、その途中で挿入される現代版の世界すらもホームズの幻想だったりしてしまうので、観客は現実と幻想を行ったり来たりすることになります。
ドラマ版でもホームズの「精神の部屋」の映像が登場しますが、まだ現実との区別がつきました。
しかし今作ではその区別も曖昧のため、観客が自分の「精神の部屋」に迷い込んでしまうという状況で、ホームズの夢の中で描かれる事件に対しても曖昧になってしまいます。事件は解決するものの、無理やり終わらせた感は正直否めません。
個人的な意見を言わせてもらえば、『SHERLOCK(シャーロック)』を元ネタに、改めてヴィクトリア時代を舞台にしたニ次創作といった感じです。
『SHERLOCK(シャーロック)』のホームズの推理は、超人的であっても常にロジカルでもありました。そのロジカルな部分が今作では影を潜めている(殺されている)ため、ここに嫌悪感を感じてしまう人も少なくないと思われます。
『SHERLOCK(シャーロック)』の1ファンとして厳しい意見を述べさせて頂きました。
あくまで1話限りのスペシャル版ですので、製作陣がやってみたかったことを試したのかもしれません。今作の良かった点や、悪かった点に対する反省はシーズン4で活かされることでしょう。
スペシャル版がどうあれ、肝心のシーズン4が今まで通り面白くなってもらえれば文句はありません。期待しています!
劇場公開版やテレビ放映版を見逃した方は、今年8月にDVD・BDが発売されるそうですので、そちらを利用しましょう。
先に書きました通り、現代版として作られた『SHERLOCK(シャーロック)』が原作の時代に戻るとどうなるかを描いた二次創作的作品として楽しむのが一番だと思います!