2007年~2009年まで、漫画アクションにて連載された漫画家、こうの史代の出世作「この世界の片隅に」
「のん」に改名した能年玲奈が、主人公のすず役で声優初挑戦することでも注目を集めた作品です。
戦争のあった昭和という舞台で、涙なしには見られない「この世界の片隅に」の感想をまとめてみました。
※このページはネタバレを含みます。
映画「この世界の片隅に」概要とあらすじ
映画「この世界の片隅に」概要とあらすじ 劇場公開日:2016年11月12日 上映時間 :126分 原作 :こうの史代 監督 :片渕須直 脚本 :片渕須直 製作国 :日本 配給 :東京テアトル |
【キャスト】 のん 細谷佳正 尾身美詞 稲葉菜月 牛山茂 |
【あらすじ】
第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。
しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。
それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。
映画「この世界の片隅に」感想と口コミ評価
53歳男性
評価:4.5
土曜の午後に映画館へ。予告が終わって本編が始まる。
原作を読んだことがないせいだろうか。やや私の予想を裏切る映像が続く。
もっとリアリズムに徹した映画だろうと思っていたが、目立つのは絵が得意なヒロインの少女すずが描く絵。
しかも描かれるのは客観的な対象だけではない。
彼女が広島の街で出会った化け物の絵を妹に描いてみせる。
迷子になった彼女は化け物の背負う籠の中で一人の少年と出会ったという。
また、広島市草津の祖母の家を兄や妹と訪れた時。スイカを食べて昼寝をする子供たち。
すずは天井の木目を見て手でなぞる(私も子供の頃、天井を見て同じことをしていたことを思い出す)。
すると、天井裏からボロボロの着物の少女が降りてきて、スイカを食べさせてもらって去っていくのだ。
この映画の魅力は、そんな夢見がちでぼーっとした少女を残したままのすずが、呉で軍の事務職を務める夫の周作の家に広島市江波から嫁ぎ、原爆と敗戦と戦後の物のない生活を体験することにあった。
1933年から1946までの日常生活や、広島や呉の街並みが丹念に描がれているのはすばらしいが、すずの目を通しているからこそ、それらがいっそう新鮮なのであり、時にはユーモラスになるのだと思う。
配給の砂糖を、すずがうっかり全部落としてしまった水がめの水を柄杓ですくって飲む義姉が「砂糖のことを考えると普通の水まで甘く感じられる」と言って飲むとか、本当は笑いごとではないけれど笑ってしまうシーンが多い映画。
そんなすずの内面を表す、能年玲奈からの改名が話題ののんの声もよかった、というか「すず」の声であるとしか感じずに映画を見ていた。
映画の最後に、破壊された広島の街で、夫がかつて化け物の背中の籠にいっしょに入っていた少年であったことがわかる(そして化け物とも再会する)。
そして原爆で母親を失った幼女がすずと周作にくっついて呉に来て、彼らといっしょに暮らすことになって映画が終わる。
だが、クレジットを絶対に見逃してはいけない。
まず、呉についてきた少女にスカートを作ってあげる話が描かれる。
そして最後に色鉛筆で描いたような絵で、もう一人の少女の人生が描かれる。
それは、すずがかつて呉の市街で道に迷って遊郭街に迷いこんだ時に助けてくれた遊郭の女であり、彼女こそ草津の祖母の家ですずがスイカをあげた少女だった。
そんな映画の描く世界の不意の広がりに感動して私が涙ぐんでいるところで照明がつく。
退場しなければならない。
でも、まだ座ってハンカチを目に当てている女性客がいた。他の観客も満足して映画を見終えたことだろう。
34歳男性
評価:5
私がこの映画を見て共感したのは、この映画の舞台でもある戦時中の中で幸せになるストーリーです。
主人公のすずは、戦時中に爆風で右手を無くしてしまい、とても悲しい状況にいる中でもどうしたら幸せに生きれるのかを、頑張って生きて探していく所がやはり印象に残ったシーンです。
私達は戦争の怖さを知らない世代なので、当時戦時中の中を生きていくとは、どんなに辛いのかを改めて知らされました。
その大変な中でも、必死に生きていく人達の姿はとても美しかったです。
もし、私達現代人が戦争の中で生きていたらとても生きてはいけないし、幸せを求めてはいないと思いました。
すずは絶望の中でも、幸せに旦那さんに拾ってもらい、笑顔になるシーンがもう見ていて涙する場面でした。
私が映画館に行った時は、ファミリー層のお客さんが多く見受けられました。
子供達に戦争の恐ろしさや、日本に原爆が落とされた事実などを勉強させたりする人達で満員でした。
この映画を見て欲しい年代としては子供から40代までの方です。
この映画を見て戦争の恐ろしさを知ったり、今の暮らしがどんなに幸せかを考えさせられるために考えて欲しいと思いました。
またこの映画の中での音楽はとても悲しく、せつなく、しかし希望が見える音楽でとても心に染み渡る劇中の音楽でした。
やはり戦争シーンなどは、激しく恐ろしさを表現されていて、見ていて戦争の怖さをもっと身にしみて感じました。